おとなになるということ
Photo: CHIHIRO ART MUSEUM, Azumino
どうしてこんなに穏やかで愛に満ちたひとでいられるんだろう、と
思わせられる人が数人いる。
そのひとたちと、それぞれ、飲む機会があって。
親に対して不満があった、または
愛されていなかった(と思っている)ことを知って、ぎょうてんした。
そんなことがあって、なお、愛に満ちた人間でいられるということは、
どこかの時点で、ゆるしたのだろうということだ、
その愛の大きさにおどろかされた。
こどもはいつ、大人をゆるせるほどに成長できるのだろうか。
そして思い出したことば。
去年、安曇野のいわさきちひろ美術館で、深く感動しつつも
完全にはわからなかったことば。
「おとなになるということは どんなに苦しくてもじぶんから愛せるように
なるということ」
これね、親のことは考えていなかったからわからなかったけど
今になってようやく理解できたような気がします。
おとなになることは、という文章の中でいちばんしっくりした文章です。
愛するご子息となかなか会えないことをひきかえに仕事をし、
たいへんな思いで会いに来ていた彼女だからこそのことばなのでしょう。
めまぐるしく忙しいなかで一瞬会えた息子の寝姿を、
その一瞬をとどめるかのようにいくつも描いたスケッチがいちばん印象的でした。