おばぁの「宝」
Photo:カイジ浜(沖縄)色集め
この夏、竹富にいってきました。
白い砂の道。ひくい石垣に咲き誇る色鮮やかな花。
土のにおい、波、ときおり聞こえる音楽、フルーツの熟れた香り。
島には独特のゆるやかな風がふいていた。
夜は民宿 松竹荘へ。
砂の道のおかげか夜は風もここちよくすずやかで。
中庭に旅行者たちもひとりふたりと、なんとはなしに集まり
民宿のおばぁが出してくれた泡盛を片手にゆんたく(おしゃべり)。
戦争も生きのび、たくましく生きてきたおばぁ。
「人とのつながりがある人生がいちばんの幸せ。
それが宝。出会ったいろんなひとと仲良くしなさい」
おばぁはくりかえし言う。
わたしは頑なに一人でがんばりつづけようとしていたのを
ここ1年半ほどでだいぶ人とのつながりで生きることがしあわせだ、と
考えられるようになっていたので
80のおばぁのことばは余計にじんわりと波のように心に響いた。
おばぁくらい生きていると、しあわせだと思うことはきっと
人とのつながりになっていくんだろうなぁ。
人とのつながりが多い人生はゆたかで、色とりどり。
「人生」というのは、たぶん、「人が生きる」ではなくて
「人と生きる」ことなんだろうな。
島では不便な暮らしから、助け合うのがあたりまえになっている。
きっとそういうところからも、このおばぁの言葉はきているんだと思う。
泡盛。おばぁの話。旅の話。釣ったばかりのお魚・・・
めくるめく美しい旅の夜となりました。
Photo: 西表島